Inheritance

相続登記

人間は誰しもが、生まれ、色々な人生を歩み、いつしか死を迎えます。

では、亡くなられた方が有する資産や負債はどうなるのでしょうか?
原則的に、亡くなられた方の資産や負債は、配偶者や子等に承継されます。これを『相続』と呼びます。
また、亡くなられた方を『被相続人』、その配偶者や子等の相続権を有する方を『相続人』と呼びます。

起こり得るトラブル

不動産の登記名義人がお亡くなりになられて、登記名義を相続人へ変更する登記を一般的に、『相続登記』と呼んでいます。
相続登記をせずに被相続人名義のままであると次のような問題が生じます。

  1. 第三者に不動産を売却することができない。
  2. 金融機関から不動産を担保に借入れができない。
  3. 建替えや増築の登記をすることが難しくなる。

この時点で相続登記をしておけば、通常、大きなトラブルになるケースは少ないものと考えられます。

上記1~3の問題が生じているのに「今は必要ないから…」と、相続開始から、被相続人名義で放置したままにすると、次のような問題が加えて生じる場合が考えられます。

  1. 相続人が高齢になり意思、判断能力の低下や不能となった場合には、家庭裁判所へ申立てを行い成年後見人等の選任をしてもらう必要がある。
  2. 相続人の一部の方が亡くなってしまったりすると、相続人に相続が発生し、関係者がどんどん増えていき、権利関係が複雑になってしまう。

上記4~5のような状態になると、相続登記をするために時間や労力を要することとなるうえに、『相続は争族』と世間でいわれるように相続人間での争いごとに発展してしまうこともないとは言い切れません。

また、相続人に相続が発生するほど長期に渡って放置されると、相続人同士がお互いを知らない、又は、亡くなられた被相続人自体を知らない相続人が現れたりしてしまう場合があり、顔を知らない者同士であれば、なおさら、相続人間での争い「相続」は「争族」に発展してしまう可能性が高くなるでしょう。
そうなると、相続登記をしようと思っても、関係者間において話がまとまらなかったり、他の相続人が、どこにいるのかも判らなくて話し合いすら開始できないという事態になりかねず、相続登記をすることができないという状態になってしまうこともありえます。

解決策

家庭裁判所に遺産分割の調停の申立てを行い、家庭裁判所での調停の場に関係当事者が出席をしてお互いの主張を出し合います。
この調停でお互いが納得すれば、家庭裁判所の調停調書に従い相続登記をすることが可能になります。

ただし、この調停が不調に終わってしまった場合は、訴訟に移行し、相続人同士で法的に争うこととなり、判決によって勝ち負けを決めることになります。

できるだけ相続登記はお早めにすることをお勧めしております。

調停で解決できたとしても金銭的負担、多くの時間や労力を費やさなければなりません。
さらに、訴訟にまで発展してしまうと、さらに多くの金銭的負担、時間や労力を費やすことになります。

それ以上に残念なことに、相続人という親族同士で争う訳ですから、その後の関係修復は絶望的であったり、相当困難なものとなるでしょう。

相続登記の手順

相続は、被相続人が死亡したことにより開始します。
これにより被相続人の資産や負債のすべてを相続人が相続することになります。

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    相続の開始後に確認すること

    亡くなられた被相続人が遺した資産や負債をすべて確認しなければなりません。

    相続する財産のうち負債の方が多い場合
    相続の開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述という手続きをしないと負債も相続してしまいます。
    資産と負債の額が現状では不明である場合
    相続の開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認の申述という手続きを申立てることが出来ます。これは、相続人が相続によって得た財産の限度において被相続人の債務等を弁済すべきことを留保して、相続を承認するものです。
    なお、この限定承認の申述は共同相続人全員でしなければならない等の制約もありますのでご注意ください。
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    亡くなられた被相続人の遺言書の確認

    遺言書には自筆で書かれた『自筆遺言』や、公正証書によってされた『公正証書遺言』などがあり、遺言があった場合には遺言書の記載が優先されます。
    なお、遺言書には厳格な記載要件があり、記載要件を満たしていない遺言書は効力を持たないとされる場合があります。

    自筆による遺言書
    家庭裁判所の検認を経なければ、相続登記が出来ませんのでご注意ください。
    公正証書遺言
    遺言者が遺言内容を公証人に伝え、公証人が遺言書を作成しますので、記載要件の心配をすることもありませんし、公文書として取扱われますので、相続が開始した後の相続人間の争いごとの種が大幅に少なくなると考えてよいでしょう。
    遺言書を作成される場合
    公証人手数料等の費用はかかりますが、残された相続人の為にも、できるだけ公正証書による遺言書を作成されることをお勧めしております。
    公証人手数料については、日本公証人連合会のホームページ(https://www.koshonin.gr.jp/)にてご確認下さい。
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    相続人の特定作業と登記書類へのご署名捺印

    相続人の特定作業
    被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本(原則:出生から死亡まで)等を本籍地管轄の市役所や区役所等で取得して相続人を確定します。
    また、相続人全員の現在の戸籍謄本や住民票も必要となります。(戸籍謄本や住民票等の取得する時間や手間をかけられない場合は、司法書士法人あゆむが取得の代行いたしますので、ご相談ください。)
    登記書類へのご署名捺印
    お預かりした戸籍謄本等を確認のうえ、相続人の方々にご署名捺印をして頂く書類を、司法書士法人あゆむが作成致します。
    これらの書類に相続人全員からご署名ご捺印頂きます。
    また、これらの書類は実印捺印のうえ、印鑑証明書の添付を要します。
    ※印鑑証明書の取得は代行できませんので、各相続人の方でご準備をお願い致します。
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    法務局への相続登記の申請と登記の完了

    登記申請
    相続人全員からご署名ご捺印をして頂いた書類を司法書士法人あゆむが受領しましたら、その他の相続登記申請書類を作成のうえ、法務局へ登記申請致します。
    登記の完了
    法務局にて登記官の調査及び登記簿への記載の作業が終わりましたら、相続登記が完了致します。

遺言書作成

遺言書を作成していた方が良いケース

  • 自分か亡くなった時に、想いを通して欲しい。
  • 家族間でのトラブルを防ぎたい。
  • 子どもがいないご夫婦。
  • 内縁関係のご夫婦。
  • 特定の相続人に多くの財産を残したい。
  • 相続人がいない。
  • 相続人に行方不明者や遺産分割協議に参加することが困難な方がいる。
  • 他国籍の方が財産を持たれている。

遺言書を残したい方は、ご相談下さい。

いつ、自分の身に何が起こるかわからない。
遺言書は、死亡後に自分の財産をどの様に相続人又は第三者へ引き継がせるか、予め決めておく文書です。

昨今では、遺言書を作成される方が増えています。
自分の意思で、遺産の分配方法を決めておくことができるので、遺産の分配で家族がもめることがないように、また、自分が大切に思う方により多くの遺産を残すことが可能となり、非常に有用です。

弊事務所は、遺言書を残したい方、どこに相談すれば良いかわからない方を、しっかりサポート致します。お気軽にご相談ください。

主な遺言の種類

「遺言」には、主に2種類あります。

公正証書遺言 公証役場で、証人2名立会のもと、遺言書を作成する。
費用がかかるが、公証人の確認を通じ正確な遺言書が作成出来る。
又、公証人による意思確認が行われる為、遺言書の効力発生後、意思能力の不足等、問われにくい。
自筆証書遺言 自筆で紙へ書き記す遺言。
法務局での保管も可能となった。
少額で作成出来るが、内容の正確性・作成時の意思能力・書面の偽造等が、問題となるケースもある。

公正証書遺言

財産の内容(不動産や預金など)を伺い、希望されるとおりに財産を分けるようにします。
(相続人に法律上守られている相続分を超えると、取り戻される可能性があります。)

司法書士は、お聞きした内容を公証人と打ち合わせて法的に問題のない遺言書を作成し、原案が完成したら一緒に公証役場へ出向き、公証人が遺言作成者と証人2人に遺言の内容を読み聞かせ、遺言の内容に間違いがないことを確認し、署名と押印をします。
(不動産をもっておられる他国籍の方の相続は戸籍の収集が難しく、専門家に頼むと費用が高額になる場合がありますが、遺言(特に公正証書遺言)として残しておけば、その後の手続きもスムーズになります。)

  • 法律の専門家である公証人と2人以上の証人の立会のもとに作成します
  • 財産の価額に応じた手数料が必要
  • 公証人が原本を保管
  • 家庭裁判所の検認手続きが不要

自筆証書遺言

自筆証書遺言の作成をサポートさせて頂きます。

  • 15歳以上で、自らの意思で作成できます。
  • 法令の要件を満たしていなかったり、内容に誤りがあると遺言が無効になる場合があります。
  • 費用を抑えることができます。

※遺言者が自分で原本を保管する必要がある。
※遺言者本人の死亡後、家庭裁判所での検認が必要です。

※ 近年、法務局で遺言を保管する制度ができました。
  • 法務局で自筆証書遺言を保管。
    但し、遺言書の提出・内容変更は、遺言作成者による法務局での手続きが必要
  • 家裁の検認手続きが不要。

▲ 但し、法務局は遺言内容の有効・無効を判断しません。
予め、司法書士等の専門家へのご相談を推奨します。